2010年以降、NCRの自動精算機を導入してきました。しかし、お客様にカウンターに来て頂き、予約確認後に 精算機の 設置している場所まで行って頂くのは二度手間ですので、できればワンストップスタイルにしたい という想いを持っていました。 スマホの登場により、世の中のITリテラシーも高まり、自分で操作することに抵抗感を感じる人は少なくなって いました。その一方で、忙しすぎる時代のせいなのか、待たされることには強いアレルギーを感じる層が増えて いました。 「人にやってもらって待たされるくらいなら、自分でさっと済ませてプライベートな自分の時間を 早く手にしたい」という 価値観を持った層が確実に増えてきていると感じていました。 このような社会のニーズを踏まえると、お客様自身にチェックインして頂くツールを提供していく方が、 お客様の想いに かなっており、真の顧客満足につながるのではないかと考えました。
一方、弊社にも課題はありました。 店舗を急速に増やしていくなかで、支配人やスタッフが足りていませんでした。そして、将来的にはもっと人が採用できなくなるということも予想していました。だからこそ先を見越して、今のうちから人に頼らないオペレーションを用意しておく必要性を感じていました。 仮に、採用がうまく進んだとしても、教育なしに現場に出すことはできません。人に頼ったオペレーションの場合、教育のための時間がかかります。次々と出店していく中でそのような余裕はありません。 また、人によるオペレーションですと、どうしても店舗や人によってサービスの質に差が生まれてしまいます。同じアパホテルなのに、同じサービスが受けられないというのではお客様からの信頼を失ってしまいます。 チェックイン機であれば、要員数を抑えることができ、採用や雇用のことを心配しなくても済みます。また、教育期間がなくても導入当日から働いてくれます。しかも均一なサービスを提供してくれます。 これにより、スタッフは全員が正社員でなくてもよくなりますので、ホテル側は経済性をより追求することが可能になり、かつお客様に対して一律のサービスを提供できるのではないかと考え、自動チェックイン機の導入に踏み切りました。
NCRはホテル向けのシステムにおいて、国内外での実績と経験が豊富でした。旅館業法など法律の縛りが緩やかな海外では、すでにチェックイン機やリモートチェックイン機を稼働させているなど、実際の現場で稼働していました。 当然、そこで得た運用ノウハウも持っていたため、地に足の着いた提案を頂戴でき、安心感がありました。 私たちが自動精算機を導入する時にも、すでに別のホテル企業様で自動精算機を稼働させていましたので、実運用において起こりえるレアケースをカバーしたシステムにもなっていました。やはりホテルには他業界とは違う「あや」があり、他業界で自動精算機をやってきた、というノリだけでは厳しい面があります。ホテルチェックイン独特の細かな部分までケアできているかどうか、また仮にケアできていないとしても、柔軟に対応してくれる社風を持ったベンダーなのかどうかを見極めることはとても大切なことだと考え、NCRさんにお願いすることになりました。
2016年10月に旗艦ホテルであるアパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>の新棟開業においては、総客室数2007室をカバーできる体制づくりと旅館業法の改正などを見据え、NCRと共同で自動チェックイン機を開発・導入しました。 チェックイン機の手続きの正確性を維持しながら、画面遷移の速さなどをコンマ数秒単位で短縮するなど、検証を重ね、導入後だけでも70回以上の機能改修と微調整を図ってきました。その結果、会員客がスマートフォンアプリを通じてチェックイン手続きをする場合、チェックイン時間を最短23秒まで縮めることに成功しました。 弊社代表のモットーは「Time is money」ならぬ、「Time is Life」、時間はお金よりも大切な命そのもの、と表現しています。時間をかけずスムーズにチェックインでき、会員客がストレスなく快適に利用できる宿泊サービスをさらに求めていくつもりです。
2019年9月、横浜みなとみらいに日本最大級となる2311室から成る横浜ベイタワーを開業しました。 弊社の調査でも、もともともキャッシュレス比率は高く、またここ数年で一気に市場のキャッシュレス比率も高まっていることがわかっていました。そこで、NCRさんに既存の自動チェックイン機から紙幣釣銭機・硬貨釣銭機を外し、かつサイズダウンしたキャッシュレス専用の自動チェックイン機の開発をお願いしました。
事前決済の比率も高まっていますので、今後は事前予約・事前決済を前提としたシステムづくりが必要だと考えています。 システム品質としては、まだ画面デザインなど修正したいところもありますので完成しているとは思っていません。 筐体が小さくなったことはいいことなのですが、画面が小さくなり、その結果、視認性がどうしても落ちてしまいました。 そこで、画面のデザインや文字の大きさなど修正し、完成形に近づけていきたいと考えています。 今後、キャッシュレスの波はもっと早く大きくなると考えています。キャッシュレス専用チェックイン機と現金も取り扱い可能な既存の自動チェックイン機の2つの選択肢を得たわけですから、これからは、店舗の規模や性質に合わせて、利便性・経済性・スペースなど総合的に考えながら、最適な組み合わせと配置を考えていきたいと考えています。 キャッシュレス専用機の活躍の場はますます大きくなると予想しています。
卓上型チェックイン機 NBS10